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保険会社の提示額について
保険会社の賠償額の提示
通院が終了し、後遺障害の有無や等級が決まると、保険会社から賠償額の提案がなされます。
保険会社の担当者の立場
保険会社には交通事故の被害者救済という役割がある一方、営利企業として利益を追求する必要もあります。
保険会社の担当者は、保険会社の従業員ですので、その使命は保険会社の利益の最大化です。
利益を最大化するには、保険契約を増やして保険料収入を増やし、保険金の支払額を減らす必要があります。
保険会社にとってのお客様は、保険料を支払ってくれる保険契約者であり、保険金の支払い先である被害者は、交渉相手です。
被害者として勘違いしてはいけないのは、保険会社から見て被害者というのはサービスの提供相手ではなく、交渉相手だということです。
保険会社担当者としては、被害者から早期に免責証書を取り付けることが保険会社から求められる業務ですので、免責証書を書いてもらう必要がある被害者には丁寧に接しつつ、その無知を知りながら非常に低い賠償額を提示してくることもあります。
保険会社の提示額の適正さ
適正な賠償額とは、裁判所が認める金額です。
弁護士が保険会社に対して損害賠償請求する場合には、裁判所が認めると予想される賠償額を請求します。
これに対して、保険会社が、弁護士が介入する前に、提示してくる賠償額は、裁判所が認めると予想される賠償額より低くなります。
これは、保険会社が社内で賠償額の基準を作っており、その社内の基準が裁判所が認めるものより低額なものとなっているためです。
したがって、保険会社の提示額は、裁判所が認めるであろう適正な賠償額を下回っていることが多いと考えられます。
適正な賠償額をもらうためには
弁護士に相談、依頼することが考えられます。
弁護士が交渉すると保険会社の提示金額が上がることがあります。
また、訴訟によりどの程度増額の見込みがあるかはある程度予想できます。
訴訟にかかる時間や増加額の見通しを踏まえて弁護士に依頼されるかご検討下さい。
損害項目
治療費
保険会社に治療費を途中で打ち切られ、健康保険等を利用して自費で通院した場合には、治療費が争いになります。
また、整骨院での治療費について、保険会社は交渉段階では支払ってくれることもありますが、訴訟になった途端整骨院での治療費の支払いを認めずに、既払い金として賠償額から差し引いてくることもあります。
休業損害
給与生活者で会社が休業損害証明書を発行してくれる場合には年収額の証明は容易です。
また、主婦については平均年収(賃金センサス)をもとに、休業損害を算定することが一般的です。
これに対して、個人事業主は求職中の方については、年収額の立証が難しいため、弁護士に相談、依頼することが考えられます。
入通院慰謝料(傷害慰謝料)
慰謝料は入通院期間に応じて決まります。
民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(通称赤い本)という本に従い計算されるのが一般的です。
なお、保険会社は上記基準より低い社内基準を持っているようで、適正な賠償額より低い提示をしてくることが多いです。
後遺障害慰謝料
後遺障害等級は1級から14級までありますが、その等級ごとに後遺障害慰謝料が定められています。
傷害慰謝料とは別に支払われます。
後遺障害逸失利益
後遺障害が残った場合、仕事に支障が出て、収入が減ると考えられます。
その将来の減収分を損害として評価するのが逸失利益です。
後遺障害等級は1級から14級までありますが、その等級ごとに労働能力喪失率が定められています。
そのため、何級に該当するかで賠償額が大きく変わってきます。
交通事故では、むち打ち(頚椎捻挫など)で12級、14級が問題になることが多いです。
物損
物損(車両損害)については、経済的全損(修理費が時価を上回る場合。時価+買替諸費用までしか賠償を受けられない。)の場合の時価額が問題になることが多いです。
加害者が、対物超過修理費用特約に加入している場合には、時価額を超えて賠償を受けられることもあります(但し、上限額を設定している場合があります。)。
弁護士費用特約に加入されている場合には、車両保険を利用するよりも、弁護士費用特約を利用して加害者に賠償請求した方が等級が上がらないとの理由で、ご依頼いただくこともあります。