交通事故から解決まで

警察への通報

道路交通法第72条第1項では、事故につき警察署に報告しなければならないと定められています。

道路交通法 | e-Gov法令検索

警察に事故を報告すると、警察官が現場に臨場し、後に交通事故証明書の交付を受けられるようになります。

警察に事故を申告しなければ交通事故証明書が作成されず、事故の発生の証明が困難となり、後の賠償請求や保険金請求に支障が生じるおそれがあります。

負傷者を救護し、危険防止措置をとる必要があります。

警察官が臨場した際は、事故状況を説明し、人身事故の場合は、実況見分に立ち会います。

なお、事故後の対応につき国土交通省が交通事故被害者ノートを作成しており参考になります。

自動車:「交通事故にあったときには」・「交通事故被害者ノート」 – 国土交通省 (mlit.go.jp)

保険会社への報告

保険法第14条及び同法第79条では、事故が生じたときは保険会社に通知しなければならないと定められています。

また、保険会社に連絡すると、保険会社からレッカーの手配等事故後の対応につき助言を受けられる場合があります。

治療

事故により負傷した場合、治療を行います。

令和4年に国内で発生した交通事故のうち追突事故が30.5%と最も多く、追突事故ではむち打ちを発症することも多いです。

第2節 令和4年中の道路交通事故の状況|令和5年交通安全白書(全文) – 内閣府 (cao.go.jp)

治療の結果、治癒する場合もありますが、治癒しない場合もあり、後遺障害として症状が残る場合があります。この場合、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定申請を行うことになります。

もっとも、むち打ち等の神経症状は外傷性の画像所見が得られることは少ないため、通院先、通院期間、通院日数等から後遺障害の有無、程度が認定されていると考えられています。

そこで、通院日数等が重要になりますが、むち打ちに対して積極的にリハビリを行わない医療機関もあります。

さらに、整骨院での施術をメインにしていると後遺障害が認定されにくいと考えられていますし、相手方保険会社の対応としても治療中は整骨院での施術費を支払っていても、後に訴訟に至った場合には施術費については支払義務を否定する場合もあります。

そのため、怪我を治すという観点だけでなく、治らなかった場合や保険会社と揉めた場合に備えて治療開始当初から通院先や頻度について考えておく必要があります。

なお、相手方加入の任意保険会社から求められる同意書については、保険会社から病院に治療費を支払う際に、治療内容や費用を確認するために必要なものですので、サインして送り返してかまいません。

治療費の打ち切り

相手方が任意保険に加入していた場合は、治療費については任意保険会社から医療機関に直接支払われます。

もっとも、むち打ちなどの場合、事故状況にもよりますが、治療を始めて3~6か月程度経過すると、保険会社から治療費の支払いを打ち切ると通告されることが多いです。

このような場合、主治医に相談した上、任意保険会社にもう少し治療費の支払いを続けてもらうよう依頼したり、治療費打ち切り後も治療継続が必要な場合には、健康保険等を利用して自費で通院することも考えられます。

症状固定

治療の結果、症状が治癒する場合もありますが、治癒せず、後遺障害として残る場合があります。

後遺障害が残った場合には、主治医に後遺障害診断書を作成してもらい、自賠責保険会社に対して後遺障害等級認定申請を行います。

後遺障害等級認定申請の方法として、任意保険会社を通じて行う方法(事前認定)と、自ら自賠責保険会社に対して申請する方法(被害者請求)があります。

後遺障害等級認定に対しては異議申立てが可能なので、異議申立てを行うか検討します。

保険会社からの賠償案の提示

賠償案の提示額が妥当なものか疑問に感じた場合には弁護士に相談した方が良いです。

任意保険会社は社内で賠償額算定の基準を設けており、これは法律上賠償すべき基準よりも低く設定されています(もっとも、具体的な基準について現在は公表されていません。)。

そのため、任意保険会社の提示する賠償案は、法律上賠償すべき金額よりも低い金額であることが多いです。

自分で交渉することも可能ですが、弁護士に依頼した方が早期に妥当な賠償額で解決する可能性が高いです。

弁護士に依頼した場合に見込まれる賠償額の増額分、弁護士費用の見込み(弁護士費用特約の有無)、解決にかかるまでの期間等を踏まえて、弁護士に委任するかご検討ください。